美少年の米

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美少年の米
2008年9月
 
日本酒「美少年」とは

美少年という日本酒はご存じでしょうか。江戸時代から造られている歴史ある熊本の地酒です。名前もインパクトがあって一度聞いたらなかなか忘れられないと思います。詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧になってください!


美少年酒造の事故米騒動

この美少年、歴史のみならず数々の品評会にて授賞され実力もありますが、過去に事故米騒動に巻き込まれたことがあるんですね。

 

お米を購入した時点、もしくはそれを保管していた期間中にカビが発生したり水濡れ等の被害を受けたもの、または残留農薬などが1日許容摂取量を越えて検出されたものを事故米といいます。汚染米と呼ばれることもあります。

事故米はもちろん食用になりませんので工業用などに限定して使われます。

日本酒を造るのに必要不可欠なものといえば、まずお米です。お米は味を決める大きな要素でもあります。その大切なお米に事故米が少しでも使われていたとしたら、ショックですよね。しかし、それが現実に起こってしまったんです。

事故米転売事件

この事件が起きたのは2008年9月のことです。なかなかショッキングな事件で、十数年前のことなので記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんね。工業用として取引された事故米が食用に転売されていたことが判明したのです。

米粉加工会社「三笠フーズ」が農水省から工業用の糊に処分することを目的として売却を受けた事故米(アフラトキシンというカビ毒やメタミドホスという残留農薬等で汚染されたコメ)を焼酎、あられ、せんべい、菓子などの加工用途、保育園の給食用、弁当等に不正に転売、横流しをした事件が発覚した。

引用:東京財団政策研究所 日本の農政を斬る! 第5回「事故米が暴く農政の根本的な矛盾」

工業用だと安い値段でしか売れないので、食用として高く売り不当に利益を得ていたのですね。

美少年酒造にも波紋が…

その頃の美少年酒造は毎年、数々の賞を授賞するなど順調満帆かのように見えましたが急に暗雲が立ち込めます。三笠フーズから事故米を仕入れてしまったことが判明したのです。

美少年酒造は大規模な商品の自主回収を行うことになりました。事故米で仕込まれたであろう出荷済み清酒を、一升瓶に換算して約3万本を自主回収し、在庫の38万本分も出荷を停止しました。

もちろん三笠フーズから事故米を仕入れてしまったのは美少年酒造だけではなく、他の焼酎メーカーなども大量の自主回収を行っています。

例えば鹿児島県日置市の西酒造は、「薩摩宝山」のこうじ米として使った可能性があると公表し、出荷停止かつ出荷済みの一升瓶約30万本分の回収を行いました。被害総額は4億円にものぼったようです。全国的に流通している焼酎ですから、これは日本中の問題となったのですね。

続いて発覚した裏金問題

 

美少年酒造は運悪く事故米の被害に遭ってしまった…とここまでなら同情もされる話ですね。しかし、続きがあるのです。事故米騒動の翌年4月に公表されたのですが、なんとこの美少年酒造、仕入れた一等米を三笠フーズの関連会社で安い三等米と交換し、その差額を受け取っていたんです。

 

 

2007年まで20年にもわたり裏金をもらっていたことが判明しました。裏金の金額は年にして150万円から200万円程度で、一月に換算したら12~16万円ぐらいですね。


金額の問題ではありませんが、たったそれだけのお金のために長い間不正を働いていたなんて悲しくなってしまいますね。人は一度始めてしまったことは、悪いとわかっていてもなかなかやめられないものです。事故米の件がなければ、裏金のこともばれずにずっと続けていたかもしれませんね。

ちなみに事故米と認識して購入したのではないと、この裏金づくりと事故米の関連は当時の副社長は否定しています。

 

一時売上は10分の1にまで減り経営の危機に陥りましたが、美少年酒造のお酒を愛する個人や団体の方々が支援してきました。結果として、その方たちの想いまで裏切る形になってしまいました。

美少年酒造のその後

事件後は美少年酒造は火の国酒造と名前を変えて再建に取り組みましたがうまくいかず、2013年に自己破産となってしまいます。美少年の製造は、株式会社美少年に譲渡し引き継がれました。

ここで絶やさなかったから、今の美少年があるのですね。このお酒を守りたい、後世に残していきたいという地元の方々の強い願いがあったのだろうと思います。

政府の取り組み

当時の政府(農水省)は三笠フーズに対して5年間にわたり検査を96回ほど実施しましたが、不正を見抜けなかったようです。その検査も杜撰なものだったようで、色んな方面から批判を受けています。実際に、事故米不正転売の責任は不正を見抜けなかった農林水産省にあるとして石破茂農相は美少年酒造に謝罪しています。

この事故米事件を受けて、二度と市場に事故米を流通させないようマニュアルが見直され、農水省の中でも様々な改革がなされました。農水省のHPに事故米穀の不正規流通問題への対応と消費者の食に対する信頼の回復に向けて というページもありますのでぜひ覗いてみてください。

あと国税庁が酒類に関する行政を担っているようですね。酒類の品質及び安全性の確保 にも記載されていますが、独立行政法人酒類総合研究所と連携し、私たち消費者に安全で良質な酒類が提供できるよう努めています。

まとめ

 

  • 熊本の名酒「美少年」は、旧美少年酒造の事故米騒動からの裏金問題が発覚し、火の国酒蔵に社名を変えて再起を図るも倒産。
  • 美少年をはじめとする酒蔵事業は株式会社美少年に引き継がれ、今日に至る。

この一連の出来事のあとで、美少年を知ってる人はどう思っているのか調べてみたところ、「美少年、昔は飲んでいたけど今は見かけないなあ。今もあるの?」という声がよくありました。また以前のように全国的に広まっていくといいですね!

ぜひ、下の動画を見たら飲みたくなるはずです。地元の水とお米を大切にして造られているのが伝わってきます。小学校跡地が酒蔵というのも雰囲気があってステキです。

 

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